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@way The Portugal Road.-01 Prologue

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■@way The Portugal Road.INDEX

@way The Portugal Road.-01 prologue


ワクワクするとはこういうことか。

TAPポルトガル航空TP837便の窓から、眼下に広がるポルトガルの風景を眺めていた。橙色の屋根が点々とし、山肌には風力発電の風車が立ち並んでいる。今日から2週間かけて旅をするポルトガルの大地を見て、僕は旅が始まってゆく感覚に酔いしれていた。


ポルトガルに行こうと決めたのは去年の12月。卒業論文もメドがつき、学生時代最後の旅の資金を稼ぐためアルバイトの日々を過ごしていた。繁忙期に突入した酒屋のバイト、軽自動車での配達、郵政カブに跨り雪の中を駆け抜ける…。着々と旅の資金は貯まりつつあったが目的地はまだ決まっていなかった。しかし自分の中では、バックパックを背負い一人で旅をしてみたいということだけは決まっていた。

これまでの旅を思い出す。僕が海外に目を向けるようになったのは去年からで、その原点である@way The Taiwan Road.では異文化に触れる面白さや様々な人との出会いを経験し、もっと海外を旅してみたい、生きている間に出来る限り様々なものを見てみたいという欲求が湧いてくるようになった。これは本当にこれまでの自分では考えられないことだった。語学なんて全く出来ず、海外にも全く目を向けなかった自分が、もっと世界を見てみたい等と考えるようになったのだから。

@way The Taiwan Road.から2ヵ月後の9月、僕は再び海外へと飛び出した。日本では考えられないほどの混沌ぶりを見せつけられ、広大な平原を駆け抜ける寝台列車に魅了された@way The India Road.。ツアーでの参加だったが刺激的で、テレビでしか見たことのないような世界に衝撃を受け続けた。

台湾とインド。これらの旅は、いずれも刺激的だったが「守られた旅」だった。@way The Taiwan Road.では相方がいたし、@way The India Road.ではラムさんが添乗してくれた。もっと自由に、そして自分の力で旅をしてみたい、それが今膨らんでいる欲求を満たす旅のスタイルではないかと僕は思うようになっていた。そんな旅を成し遂げた時、僕はある種の「自信」を身に付けられるのではないか…同時にそれは、社会人になる前に必ず成し遂げなければならないことのようにも感じていた。


台湾へと旅立つ約1ヵ月前の2011年6月。普段あまり見ることのないWBSを何気なくボーッと眺めていた。「スミスの本棚」というコーナーがやっていて、毎回様々なジャンルの著名人がゲストとして招かれお薦めの一冊を紹介するというものだった。今回のゲストはジャズ・サックス奏者の坂田明さん。彼は「読む人の価値観に変化を与えてくれる一冊です。」と、とある一冊の本を紹介し始めた。

「作家の戸井十月さんがバイクで20ヵ国の国境を越え、120日間3万kmの旅の記録『道、果てるまで』」

「世界の文化 地理 空気 住む人たちの人間性」
「垣間見たモノをどの様に受け止めるかによって」
「この本のありがたみは人それぞれ違ってくる」

未知の世界を知れば知るほど、
もっと知らない世界があることを知らされる。
お手軽に、要領よく世界の現実を知る方法など一体あるのだろうか?
異なる歴史と文化の中で生きる人間たちと、手っ取り早く、スマートに出会って
理解し合う方法などあるのだろうか。

「"自分の価値観を一回壊してその国で違う価値観を積み上げる”」
「見知らぬ一歩を踏み出せば”喜び”と”ガッカリ”を得られる」
「それを全部取り込めば"自分の豊かさ”につながる」


(WBS.LOG 6/15,スミスの本棚,坂田明 http://wbslog.seesaa.net/article/210060733.htmlより引用)

次の日には近所の紀伊国屋までその本を買いに行っていた。わざわざ在庫を店員さんに探してもらい、何かで手に入れた図書カードで購入。久しぶりに手にしたハードカバーのその本は、関空からインドへ向かうエア・インディア機内の中で、腕の手術で入院した病院の待合室で読み耽る。

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インドへと向かう機内の中で、空の雲を見ながら音楽を聴いてこの本を読んだ。


本を購入し半年が過ぎた2011年12月。もう既に読み終えたこの本を、僕は何となく読み返してみた。ユーラシア大陸をバイクで横断するという壮大な旅が始まった場所。ユーラシア大陸最西端、ポルトガルのロカ岬がそこだった。戸井氏の壮大な旅がそこから始まったように、僕もこれから始まって行く社会人生活という「新しい人生」を、そこから始めたいと思った。

理由はたったそれだけだ。12月6日、ネットでポルトガルへと向かう航空券を予約した。2週間かけてポルトガルを旅することを決めたのだった。


ローマから乗り継いだTAPポルトガル航空TP837便は、徐々に高度を下げていった。滑走路に僕が乗る飛行機の影が写り、その影が大きくなった頃にはシートの下から尻がガツンと突き上げられた。これから2週間かけて旅する、ポルトガルの硬い感触だった。

ワクワクするとはこういうことか。長い旅が始まったのだった。

| @way The Portugal Road.(12/03/01-16) | 19:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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