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@way The Portugal Road.-02 「一人の旅」

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■@way The Portugal Road.INDEX

@way The Portugal Road.-01 prologue

[2012/03/01(THU)]
@way The Portugal Road.-02 「一人の旅」


2012年3月1日(木)

家族に、そして友人に見送られ一人の旅が始まって行く。いつもの駅の改札口。110Lのバックパックを背負って通り抜けて行く。


4年間続けてきたバイト先では「目的地は内緒っす。お土産事務所に置いとくんで、その時初めて目的地が分かるシステムで」と言って2週間休暇をいただき、旅の資金集めのために年末から2月にかけてやってきた短期バイトも全て終了。1月2月と続けてきた配達業者の仕分けバイト先では、前日の29日に「無事に帰ってきてよー?」とやや心配されながらも暖かく見送られた。

荷物の最終チェックを行い、9:00頃山本さんが自宅近くまで迎えにきてくれた。本来なら関空へと向かう高速バスの乗り場である蛍池駅まで送ってもらう予定だったが、山本さんの祖父が手術を行うことになったので地元駅まで。バックパックの大きさに山本さんは驚く。それをオンボロのカムリの後部座席に放り込み駅まで送ってもらった。数々の旅や試練を共に乗り越えてきた友人に見送られ、9:26発の普通列車に乗る。

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(L)出発前にバックパックの最終調整を。(R)高速バスで関空へ。

蛍池駅に到着し高速バスの乗り場へと向かう。ここから高速バスで関空に向かうのは初めてだ。バス乗り場の自動券売機で1900円の片道切符を購入。往復切符の方が割安になるが、有効期限が14日であるのに対し旅の日数が15日なので片道で。バックパックを係の人に渡し荷物の引換券を受け取る。右窓側の席に座る。9:40頃、高速バスは走り始めた。

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(L)蛍池駅の次は大阪国際空港(伊丹空港)に停車。(R)10:45頃、大空の玄関口へと続く橋が見えてきた。

蛍池駅からバスに乗ったのはたった数人だったが、次の大阪国際空港からはそれなりに乗客が増えた。高速バスは大阪国際空港のロータリーから阪神高速池田線に入った。大阪の中央公会堂や、湾岸線沿いの工場地帯等を見ながら進んでいく。10:45頃、大空の玄関口「関西国際空港」へと続く橋が見えてきた。

11:00には関空に到着した。乗客の最後の方にバスを降り、引換券を渡してバックパックを受け取る。受け取る際、僕のバックパックの隣にオレンジ色のバックパックが置かれていた。70~90Lぐらいのサイズで、あきらかに僕のはデカ過ぎだ。バックパックを買った店で言われた「大は小を兼ねるって言いますし…」の言葉を信じよう。重たいバックパックを背負い、空港4Fの国際線出発口へと向かう。

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(L)チェックインまでの間にバックパックの調整を。中のザックを取り出し手荷物と分ける。(R)受け取った航空券。旅が始まる。

国際線出発の掲示板を見ると、関空からローマへと向かうアリタリア航空AZ793便のチェックインは11:10からと表示されていた。それまでの間バックパックからザックを取り出し受託手荷物と持ち込み手荷物とに分ける。バックパックにカバーを取り付け、既に5人ほど並んでいるチェックインカウンターへ。

9.3kgだった。バックパックのその重さに、取り出したザックを加えると多分10kgには達するだろうから、それなりに重さのあるものを背負ってこれから旅をすることになる。今回ポルトガルへ向かうにあたり、一度ローマで乗り換える必要があった。その際受託手荷物は受け取るのか?そうでないのか?と不安だったので、チェックインカウンターの女性に聞こうと思っていたら、「ローマで荷物を受け取ってください。航空会社が違うので。」と女性の方から教えてくれた。どうやらローマから乗る飛行機はアリタリア航空との共同運航便とはいえTAPポルトガル航空に乗り換えるので荷物を受け取らなければならないらしい。不安が1つ解消した。航空券を受け取り、身軽になった体でみずほ銀行の両替所へ向かう。

今回の2週間の旅、お金の持って行き方に大分悩んだが結局一番危ない現金持ち歩きスタイルで行くことにした。既に旅の予算としては十分なユーロを持っていたが、追加でいくらか両替しておくことに。その追加分にはYさんからもらった餞別も含まれていた。

12:15頃、南出発口から出国手続きを行っていく。前をのんびりと歩いていたカップルを抜き手荷物検査。航空券とパスポートを提示しそこへ向かうが、とにかくすごい混みっぷりだ。前にいた外国人のスーツケースがでかい。ワンランク上のクラスの乗客なのだろうか。携帯をいじりながらその大きなスーツケースを転がすものだから、前に進むのが遅い。さらに前に並ぶ台湾人の女の子2人組みが何やら慌てている。身に付けている金属類が多いのと、お土産やら何やらでやたらと荷物が多い。「奥に進んで下さい」と係員に催促され、彼女たちはさらに慌てていた。靴にも金属が付いているのか、慌てて靴を脱いでいる。

手荷物検査、出国手続きをズババババと突破し、シャトルに乗って40番ゲートへ。シャトルの中に汗臭い男性がいたが、僕自身のワキ汗もやばいかも…なんてことを考えながら、今回の搭乗口である40番ゲートの待合所に辿り着いた。自販機で飲み物を買い、今回ローマまで運んでくれるアリタリア航空の機材を眺める。

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アリタリア航空 AZ793便

卒業旅行。そんな感じの旅に出る学生たちで待合所は賑わい始めていた。そういえば4月から入社する会社の同期もヨーロッパを4か国ほど周遊するツアーに参加すると言っていて、その出発日が今日だった。イタリアやフランス、ドイツなんかは卒業旅行の行き先として人気が高いのだろうなぁ。そんな感じの空気に包まれた待合所で、これからポルトガルに向かう僕は無意味な優越感と、妙な孤独感を感じたりする。

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(L)機内に乗り込む。(R)長い長いフライトが今始まる。

9750km、マイルだと6058マイル。機内に乗り込み、画面のモニターを見るとローマまでの距離が表示されている。日本海、シベリア、バルト海沿岸経由でローマへと向かう。窓側の僕の隣には金沢からやってきたおばさん、さらにその隣の通路側の席には優しそうなイタリア人の男性が座っている。14:20頃、ローマへ向けて離陸した。

「イヤホンってどこですかねぇ?」。隣のおばさんに声を掛けられた。結局イヤホンは離陸して間もなく、乗務員から配布されたのだが、おばさんの席のイヤホンを差し込む部分が使用できない状態になっていた。僕やイタリア人の男性も何とかならないものかと頑張ってみたが、この穴の中でイヤホンの端子が折れいたのだ。12時間以上のフライトなのに映画もまともに見れないなんて…とおばさんは嘆いていたが、女性の乗務員も「今はどうすることもできないので…代わりに雑誌をお持ちいたします」と言って対応していた。

「今回はどこへ行かれるんですか?」。隣のおばさんに話しかけられた。僕がポルトガルを旅しますと答えると若干驚かれた。おばさんの方はと言うと、これからイタリアの団体ツアーに参加するらしい。今朝金沢から出てきたところで、これまでにもワシントンなんかにも言ったことがあるらしい。「あの時はホントに飛行機が揺れてねぇー。怖かったわー。」 何となく旅の経験が豊富そうだったのでこれまで行ったことのある国を聞いてみると、おばさんが旅した国はアメリカや今回のイタリアぐらいだったが、どうやら娘さんがヨーロッパを一周したことがあるらしい。「大学の先生に、ヨーロッパを一周しておいた方がいい!なんて言われたらしくて…。親としてはめちゃくちゃ心配で、絶対に1日1回電話を掛けてくるようにという条件で送りだしたのよ。そしたら、電話料金が100万円で請求書が送られてきたの!もうびっくりしちゃって…」 さすがに100万円という携帯電話料金には驚いたが、何より素晴らしい経験をされたんだなぁ娘さんは…と心の底から感じた。今回の僕の旅は、これまでそのような経験がなかったから出発したようなものだと改めて考える。たった一か国、たった2週間。だけど、たった一人で、全く言葉の分からない国で、2週間自由に旅をする。これが最後のチャンスなんだ。

窓の外を見ると、驚くぐらいはっきりと雪に覆われた東北地方が目に入った。

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最後のチャンスをこの大空へ。不安と自由へ、今飛び込んでいく。

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(L)配布されたイヤホン。同時にユニセフの案内も配られた。(R)サービスの手始めとしてドリンクとおやつ。

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アリタリア航空の機内食

搭乗して2時間が経った頃に機内食が運ばれてきた。和食か洋食か選べたので、折角のヨーロッパ系の航空会社、洋食+赤ワインを選択。おばさんは和食を選んでいた。いやー、美味しい。

120716-15.jpg機内の照明が暗くなった。こんなにも早いタイミングでお休みモードになるとは思わなかった。まだまだ外は明るいが日除けを閉める。睡眠する前にトイレに行ったが5人ぐらい並んでいた。皆卒業旅行に向かう雰囲気の若い人ばかりだ。うーん、お尻が痛い。自分の座席に戻り、音楽を聴きながら眠りに入った。

途中で目を覚ます。一度目を覚ますと中々寝付けないので、読書灯を点け今回持参して後悔した大学の図書館で借りた本を読むことに。「ジャーナリストの現場-もの書きをめざす人へ」という本だ。結構な分厚さで旅行期間中に読み切ることはできずそのまま返却(卒業前で催促状が届いていたので…)してしまったが、真剣に「今後の自分の人生に大きな影響与える本かも…」と感じた。…いや、ホントホント。後悔したというのは、ちょっと本が重たくてバックパックの旅では結構な重荷になってしまったこと。いずれまた読もう。

再び眠りに落ちる。深くないその眠りはお尻の痛みにすぐに覚めてしまう。気が付くと隣のおばさんと、その隣のイタリア人の男性がいないことに気付いた。丁度良かったので再びトイレに向かう。うあー、お尻が痛い。席に戻ると2人がコーヒーと水を持って座るところだったので、一番窓側席の僕は2人のコップを持ち2人が一旦通路に出てから僕が座り、再び2人が席につくという連携プレーで上手いこと座った。

ほどなくして機内が明るくなった。日除けを開けている人が何人かいたので僕も少しだけ外の様子を伺う。朱色に染まる空だった。

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日除けを開けると、朱色に染まる空だった。

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(L)機内が再び明るくなり…(R)ドリンクとパンとチーズが挟まれたパンが配られた。

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ドリンクとパンが配られ、さらにその後間を置いてから2度目の機内食が出された。ハムが美味いよ、ハムが。モニターを見ると、外の気温は-69℃という上空。航空機が再び西日に追いつき、さっきまで沈んでいた太陽が再び顔を出す。西日が眩しい。それもすぐには、遥か彼方に沈んでいった。

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追いついた西日もすぐに沈んだ。間もなくローマに到着する。

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(L)ローマに到着。人の流れに乗り進んでいく。(R)途中でシャトルに乗車。

レオナルド・ダ・ヴィンチ/フィウミチーノ空港。無事にローマに辿り着いた。本当に長かった。隣に座っていたおばさんに「良い旅を」と言われ、僕も「お気をつけて。楽しんできてください。」と返した。おばさんはすぐに人の流れで見えなくなった。僕もその流れに乗り、進んでいく。

途中、乗り継ぎ便を確認している人だかりを見かけた。僕も乗り継ぐリスボン行きの便を確認。その後シャトルに乗る。乗ってから「こっちで合ってるんかな…」と不安になったが、シャトルを降りてすぐに「荷物」の表示を見つけて安心する。一旦空港を出るので荷物を受け取らなければならない。間違えではないということだ。

荷物を受け取る前に入国審査を受ける。同じ便でここまでやってきた日本人と、どこかの航空会社のスチュワーデスの波に押されながら入国審査の列に並ぶ。この列が中々の並びっぷりで、しかも審査官の愛想の無さが半端なかった。さっさと来いや、といった雰囲気で指をコツコツとさせ、手渡したパスポートもポイッ。特に入国スタンプも押されなかったパスポートを受け取り、荷物の方へ向かう。

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レオナルド・ダ・ヴィンチ/フィウミチーノ空港

Welcome to Italy.ついにここまで来てしまった。荷物の出てくる場所へ歩いていると「学生ツアー?」と声を掛けられた。イタリア人の男性で、その周りには日本人の女の子が4人ぐらい集まっていた。どうやらガイドさんのようで、僕をその参加者と思って声をかけてきたらしい。「ノー」という身振りをすると、「先生っぽいね」と言われた。周りにいた女の子達に微笑まれながら、僕は荷物を受け取りに行く。

120716-25.jpg青く、もっさりとしたバックパックが大分後からベルトに乗って運ばれてきた。受託手荷物が出てきた時の安心感は毎回毎回感じる。とりわけ今回は乗り継ぎなんかも絡んできているから余計に不安になったりする。無事にバックパックを受け取り、一旦イスに降ろして荷物の調整を。機内に持ち込んでいたザックを詰め込み荷物を一纏めにしてから到着口の方へ向かった。プニッとした体つきのイタリア人に目がいってしまって気が付いたが、さっきまで同じ便でやってきた日本人たちが驚くほど見かけなくなった。完全にヨーロッパの世界に巻き込まれてしまったようだった。

誰も待っていてくれる人はいない、そんなことは分かっていたけれど、こんなにも空港で出迎えてくれる人がいない到着口が寂しいとは思わなかった。ここにきてガイド付きのツアーが羨ましくなってくる。一気に不安の気持ちでいっぱいになってきた。

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ローマでは観光する予定は全くなく、ホテルも予約していなかった。翌朝は6:20の便なので空港泊を考えていたからだ。それでも一応は空港をちょろっと出てみる。もしかしたら何か見えるかも…なんて淡い期待を抱きながらタクシー乗り場の方へ出てみたが、当然のことながら何も見えないし、ここからどう行けばどこに行けるかなんてことも分からない。再び空港の中に戻り、翌朝のチェックインの場所を探すことに。インフォメーションで聞こうかとも思ったがやめて、とりあえず上の階に行ってみることにした。そのためのエレベーターを見つけたが、周囲にいた男性の雰囲気が何となくヤバそうで(あきらかに考えすぎだが…)エスカレーターで行くことに。上った先にチェックインカウンターがあったのでひとまず安心し、もう1つ上の階へ行ってみることにした。上った先にはベンチがたくさん置かれているスペースがあり、ここを空港宿泊スペースだな…と決める。まだ寝るには早いがひとまずベンチに座り、テレビで放映されているニュースを眺める。言葉は全く分からないが、映し出された映像に日産マーチがちょこんと写り込んでいて微笑ましくなった。

ベンチの周りにはお洒落なお店がいくつか並んでいた。そういえば飲み物がないと思い出し、急にそのことが不安になってきたので再びチェックインカウンターで翌朝の便を確認しつつ1階のコンビニっぽい店に飲み物を買いに行くことに。

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(L)翌朝のリスボン行きを確認。(R)コンビニっぽい店で水を買う。

バイト先で見たことのあるパッケージの水を見つけた。サンベネデット。そういえばアリタリア航空の水もこれだった。隣に座っていた金沢のおばさんが「これってイタリアの水かしら?それじゃぁ硬水?」と言っていたので「そうだと思います」と答えた。ドリンクの冷蔵ケースの前には、イタリア人の店員さんが補充をしていた。補充をした後の空き箱の置き方が粗い。そんなことはどうでもよくて、サンベネの値段を確認する。価格表が冷蔵ケースの端に貼られていた。値段を確認し購入。再びベンチの場所に行き、持参したおやつを食べながら水を飲む。ペットボトルの飲み口が特殊で若干飲み方が分からなかった…。

臭っ!長時間履きっぱなしの足はとにかく臭かった。たまに通りかかるイタリア人女性の体に目を奪われる。あー、ダメダメ。目の前のベンチではおじさん2人組みが新聞を読みながら喋っている。そのおじさんも20:45頃にはどこかへ行ってしまい、21:00には周りの服屋さんも閉まり始めた。…と思ったらまた開いた。よく分からないお店のシステムだが、そんなことはどうでもよく。空港で泊るであろう旅人も徐々に集まり始めてきた。21:10頃にやってきた女性は、硬いベンチの上でゴロンと横になるとそのまま寝始めた。なぜかその女性は後からやってきた警備員に話しかけられていたので、僕もここで寝ることを注意されるのでは?と不安になったが、結局僕が警備員に話しかけられることはなく、むしろ次第に集まってくる空港宿泊者に安心した。

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(L)目の前のおじさんも寝始め…(R)この状況を記念に写真を撮る。

目の前の、何となく優しそうな表情のおじさんも寝始めた。スーツケースに手をかけ、一応は荷物のことを気にしているようだ。さらにその前にいたやんちゃそうな男の子とそのお母さんは、カートに積んだ荷物に足をかけて寝始め、そんな旅人の光景を見ながら僕も眠りはじめる。が、後ろにはずーっと喋っている黒人の男性と白人のお母さんがいて中々寝付けない。頭を天井に向けてようやくウトウトしてきた頃、後ろの笑い方が面白い女性にどういう原理か分からないが頭を蹴られた。しまいにはその辺りをずっとウロウロしていた怪しげな老人に声を掛けられた。「時計見せてくれ」的な感じで喋りかけてきたので、時計を見せて時間を教えてあげる。言葉がまず分からないので適当に笑ったら、おじさんも笑ってくれた。悪い人ではなさそうだがそれでも警戒心は解けず、ようやく眠れたのは日付が変わってからだった。

何とも不思議な旅の空間を、今体験している。旅の1日目が終わった。

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空港宿泊。硬いベンチで眠るが辛かった。

| @way The Portugal Road.(12/03/01-16) | 16:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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